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ねずみ退治
殺鼠剤の忌避性
ねずみが賢い動物かどうかには、諸説がありますが、昆虫が殺虫剤を忌避する例に比較すれば、ねずみが殺鼠剤を忌避する例の方が遥かに多いようです。
それに、現在の殺鼠剤は全て食毒としての効果を狙っています。
どれほど微量で有効な薬剤であってもねずみがそれを食べない限り死亡する事は期待できません。
言うとすれば、ねずみが”自発的に”毒餌(もしくは体表についた粉)を口にしない限り、駆除の効果は上がらない訳です。したがって、殺鼠剤の持つ各性質の中で、ねずみが忌避するかどうかは、実用的価値の立場からは、非常に重要な問題です。
ここでは総括的に忌避性という言葉で表現しましたが、毒餌について見ると、その実用価値を左右するのは喫食率です。その喫食率は、殺鼠有効成分そのもののねずみに対する忌避性以外に、毒餌の基剤の組成が影響します。
反対に言えば、ねずみの好む餌材料を上手に配合することで、忌避性を打ち消して喫食率を高めることもある程度は可能です。
次に、ねずみの忌避性は、種類によって異なり、また同一種でも環境条件によって一定ではありません。
例えば、ねずみの餌が極端に不足している環境では、多少忌避性のある殺鼠剤でも高い喫食率が得られた例があります。
また、毒餌を喫食した結果、急性中毒症状を起こし激しい興奮や痙攣を起こすと、ねずみの集団にストレスを引き起こし、それからその毒餌に寄り付かなくなる傾向があります。
これは、厳密な意味の忌避性ではありませんが、喫食率の低下を導く原因の一つになります。クマリン系化合物は、一見して自然死のような軽い中毒症状を起こすため、このようなストレスを引き起こすこと少ないです。
反対に、極めて速攻性の薬剤は、喫食から中毒もしくは死亡までの時間が短いので、ストレスの程度が小さい事も考えられます。
元々日本では、殺鼠剤を毒餌に含ませて食べさせるのが普通ですが、粉剤に殺鼠剤を含ませ、通路や穴の前などに撒いておく方法も、この先さらに開発普及されるべき使用形態でしょう。
この粉散法は毒餌法に比較して多量の薬剤を必要とすること、散布場所が汚染されること等の欠点もありますが、逆に適切な場所に散布すれば効果が大きいこと、殺鼠成分の持つ多少の忌避性がカバーされることなどの良い点もあります。
なお外国では、アンツウは粉剤として散布される事が多いようです。
数種類の殺鼠剤をねずみに投与して喫食率を調査した三坂の報告によると、忌避性の全く認められなかったものはモノフルオール酢酸ソーダで、次いで黄燐剤、シリロイド、硫酸タリウムでした。
一方、炭酸バリウム、亜硫酸石灰、アンツウの3つはねずみによって忌避される傾向が強く、中毒が進行するにつれて、喫食状況は次第に悪くなるといいます。
殺鼠剤の抵抗性
殺虫剤の場合には、長期間同一の薬剤を連用すると、昆虫の集団が淘汰され、強者が生き残り繁殖していく結果、著しく抵抗性が増す事実が確認されています。
これと同様な経過を殺鼠剤に当てはめてみると、ある殺鼠剤に元来強い遺伝的要素を持った個体(ねずみ)が集団中に存在する場合、長期間同一の殺鼠剤を使用していると、強い遺伝的要素が集団中に濃縮される格好となり、いずれその集団は強い個体だけで占められてしまいます。
このような意味の殺鼠剤抵抗性は、日本では現在まで全く見出されていません。
これは、ねずみの繁殖能力がハエや蚊と比較して遥かに小さいという事実にもよるでしょうし、また一方で効果的な駆除が継続して実施されていないという現状にもよります。
いずれにしろ、抵抗性の増大は、この先の可能性として考えなくてはならない問題です。なお、イギリスでは1965年にワルファリン抵抗性のハツカねずみが数箇所で確認されています。
次に、致死量い達しない殺鼠剤を口にしたねずみがその薬剤に強くなり、通常の致死量では全く効果がなくなることもあります。
前述したような抵抗性は、代を重ねて初めて、その集団が強くなるのであり、これは、その1代の間中に強くなるので、両者では全く意味が違います。
後者につきましては、前者の”抵抗性”と区別するために”耐性”という風に呼びたいです。この耐性はアンツウにおいて時おり見られます。
ねずみは私達の生活に寄生して生活してきた!?
対ねずみ施策の方面から見ても、たとえば都市やその周辺に発展してきたスーパーマーケット、大都市繁華街の一つとなった地下商店街や密集飲食店街、企業合理化から生まれた大規模食品工場、多数羽養場、多頭飼育の畜産業者など、どの施設を見ても、ねずみに対する施策は無防備状態にあります。
近代ビルの天井一つ見てみても、防鼠に関する観念は薬にしたくてもそれが見あたらないのが現状です。神代の昔にも劣ると言われても、反論はできません。
その一方、食糧事情の好転に伴って、私達の生活からの排泄物やゴミは質、量ともに順次増加の傾向にあり、これに適応している施設が伴わない事と関係して、ねずみの生息を助けている事も事実です。
日本のイエねずみは、増えたのか減ったのか、その答えは言うまでも無く明らかです。
《ねずみ》とは正確にはどのような動物でしょうか。イメージとしては頭の中にはかなり正確な像を描く事は出来ますが、口頭で述べるとなると、至極曖昧になります。
まず、分類学的に言うと、「ねずみとは、動物界ー脊椎動物門ー哺乳類網ーげっ歯目の中のねずみ科に属する生物である」と言う事が出来ます。以上は文句のつけようがない正確な定義ですが、分類学の知識のない人が聞いたら、結局何のことか分からないでしょう。そこで、少し具体的な特徴を上げて説明することにしましょう。
◆ネズミの具体的特長◆
どうぶつはまず、動物界という枠組みで括られます。
それを①脊柱動物門、②節足動物門に分けられ、
①を更にA・哺乳類網、B・鳥類網、C・魚類網に分けられます。
更にAはa・げっ歯目、b・食虫目、c・霊長目とわけられます。
しかし、この分類の仕方は学者によっては多少異なってきます。多数出版されている参考書や文献の類の中で、執筆者の考えで2、3の方式が示されているので、この点を明確にさせておきましょう。
ねずみ捕殺式のもの
普通、よく使用されているのは所謂パチンコ式の罠です。これは単独で使用する事もありますが、前述の侵入通路設置式のものの内部に置いて捕殺することもあります。適当な大きさの厚い板に強いばねを仕掛け、その一部に餌を付けておきます。
ねずみが餌をかじるとバネが外れて捕殺される仕組みです。固型の餌を1個かぎにかける事もあり、穀粒を板のくぼみに入れてねずみを誘うものもあります。
捕獲したいねずみの種類によっては体に大小があるので、それに相応しいサイズのバネを選ぶ必要がある。ハツカねずみを捕殺する際に大きなバネを置くと、餌だけを取って逃亡されることもありえます。
水を張った樽や桶、バケツ等に切れ目を入れた厚紙を被せ、その上に餌を置く罠もあります。切れ目は乱雑に入れたほうが効率が良いです。
餌に誘われたネズミはこの切れ目から水中に転落、溺死する仕組みです。特にこの罠を成功させるために、2~3日は切れ目の入っていない厚紙の上に餌を置いてねずみに食べさせ、信用させてから実行する事で有効性が増します。紙の代わりに水面にモミガラ、ソバガラ等を水面に浮かせて、その上に餌を置くやり方も有効です。
また、圧死させる手段として、ねずみの体重によってカギが落ちる箱もあります。更に簡単なのは、厚い板や畳の一方だけを上げて、杭で支え、下に餌を置き、餌と杭を細い紐で連絡しておき、ねずみが餌を食べるか巣に運ぼうとすると杭がはずれ、上の重しが落ちてくる仕組みのものです。
また、電気を利用し、一瞬にしてねずみを捕殺する方法も考えられていますが、これは他の動物にも危険が伴うことになるでしょう。
ネズミ駆除用粉剤の使い方
毒餌駆除法はねずみに毒を食べさせなければいけないので、様々な問題点があります。これに比べて、粉剤を使用する場合は食べさせるわけではないのでかなり簡単であるといってよいでしょう。粉剤使用の原理は、ねずみが体表面に付着したものを舐める習性を利用したものです。
ねずみたちの巣の中や通路に有毒物を含んだ粉剤を撒いておくと、この粉はねずみが活動するにつれて四肢や腹面、尾などに付着します。
そしてやがて舐められ。消化管に入り、毒餌を使用した場合と同じようにその効果を発揮するようになります。この場合には、毒餌のそれとは違って、材料の選択、ダンゴの調整など複雑な操作も、また薬剤に対するねずみの忌避性の有無・強弱などを考慮する必要がありません。
このことから、粉剤を使用する事は簡単ですが、散布場所を何処にするかということが駆除の効果お大きく左右します。
特別な理由がない限り屋外のねずみに対しては、その巣の中に散粉器で吹き込み、屋内のねずみには殆ど決まった通路に撒きます。倉庫内、物置もこれと同様です。
散布した次の日には、ねずみが通ったかどうか、粉を撒いた上の足跡を調べます。そして粉剤が減少していればさらに散布しなければなりません。
粉剤駆除の場合は薬剤量がかなり大きく、細かく言えばねずみの体に付着しないものも少なくありません。少し無駄なようにも思いますが、多くする方がやはり有効です。
もちろん付着を効率良くするには粉剤製造の時の製造技術によるところが大きいので、優秀な粉剤を選ぶ必要があることは言うまでもありません。
非常に微量の粉が体表面につき、それで果たしてねずみが死亡するだろうかと不安に思いますが、実験室で行われた研究では十分死亡していますし、投与量から残存量を差し引いて、ねずみに付着したと思われる薬量をみると、十分致死量に達しています。
家屋内では雨も風も心配ないので、環境に影響される事は少ないのですが、野外駆除の時はこの点をよく考えなければなりません。
急性中毒剤なら1~2日間でよいのですが、クマリン系のものでは7~15日間散布を継続しなければなりません。
この間家屋内が汚れてしまいますが、これは仕方がないので、我慢しなければなりません。
ねずみ侵入の防止2
土台の硬いレンガやセメントモルタルも地中75cm位まで埋めれば、ねずみによって掘り下げられる事は余りありません。
更にこの土台の先を建物の外側に30cmまげて突き出せば、より一層安全性を増します。家屋の外壁と土台が同じ幅で連続している事が望ましく、この継ぎ目に厚さの差があるとねずみにかじられる可能性があります。
日本式建築ではコンクリート基礎石の上に木材の土台を置くだけの場合が多いですが、これは大変危険です。通常、下見板と壁との間は上で空間になっているので、ここから穴を開けてねずみは自由に床下から天井裏に出入りできるようになるのです。ここを厳重にしなければ防鼠家屋とは言えません。
日本では昔、「ねずみ返し」というものが穀物倉庫に設置されていたし、港に停泊している船舶のモヤイ綱にねずみの船内侵入を防ぐ金具が取り付けられて有りますが、どれほどの効果が期待できるのでしょうか。
ねずみが超音波を嫌う事を利用し電気的に超音波を発信し、侵入を防ぐ方法もあります。既に市販競れている器械がありますが、倉庫や貴重品の保護には有用で、波長は10~20KC、この音は人間には聞こえません。
ねずみ侵入の防止
日本式の建築物はねずみの侵入については無防備であると言えます。天井裏の騒音は安眠を妨げ、それに加えて電気の配線をかじって火災を引き起こすことも稀にあるのです。
様々な被害を防ぐためには彼らの侵入を強固に阻止しなければならないのです。
その要領は、外部からか屋内に通じるあらゆる孔をねずみが通れないように格子目状の金具をはめ込む事です。調理場の流しや風呂場の排水溝、玄関のたたきの流水口、床下の土台の通風孔などと考えると、警戒を厳重にしなければならない箇所はいくらでもあるのです。
庭先の石垣の間、デパート屋上によく見かける石を積み上げた庭園など、彼らが格好の隠れ場所とする場所なので、コンクリートで隙間を塞がなければなりません。
ねずみの歯の硬さは個体で差があるので一概には言えませんが、屋外のねずみに対しては安全であっても、屋内のねずみはガラスも鉄もかじる事があるから油断は出来ません。
石垣、花崗岩、玄武岩といった自然石はまだ安全性がありますが、砂岩や石灰岩等は危険です。
耐火レンガや硬質レンガはまず安全ですが、普通のレンガならば最小限、10~15cmの厚みが必要です。
この場合、継ぎ目のモルタルは、より固いものが良いとされます。ガラスの破片をコンクリートに混ぜることで、安全性が増します。
木材や、タールを塗った屋根葺き用の板紙、砂を混ぜた漆喰、陶土等は余り実用的とは言えません。自然岩盤のスレートは、かじられることも有りますが、不思議な事に人工スレートは被害を免れる事が出来るのです。
薄いブリキは簡単に穴を開けられ、そこから腐食することになります。同じ事が金網にも言えます。鉛やアルミニウムは危険だと思われます。
生物的ねずみ駆除方法
ねずみを攻撃する動物を利用して防除をする方法の事です。いわゆるねずみの天敵としては非常に多くの動物を挙げる事ができます。哺乳類ではキツネ・テン・アナグマ・タヌキ・イタチ、鳥類ではワシ・タカ・ノスリ・トビ・フクロウ、爬虫類のヘビなど多くのねずみに対する寄生動物は天敵として利用できるものだと思います。ですがその利用の度合いには自然と軽重の区別があります。野外のねずみを対象とする時はこれらの動物の力を利用することもよいのですが、ここで取り上げる主なものとして家の中のねずみにはこの応用範囲は極めて狭いものとして見なければなりません。
そこで最初にあげられる動物に猫がいます。ねずみの天敵として猫の効果は、不確実なものとして判断しなければないでしょうか。ねずみを捕まえて殺す猫もいるにはいますが、ほとんどの猫は小型のねずみか、せいぜい大型のねずみの幼獣を捕まえる程度です。年を取ったねずみは猫に対して防御の姿勢を取り、時には反対に猫を威嚇することもあります。狭い場所に追い込まれるようなことはなく、素早く近くの安全な穴の中へ逃げてしまいます。このような場合、猫はねずみに致命的な傷を与えたとしても、大きなねずみは十分に警戒して積極的に攻撃することはありません。一度ねずみに攻撃されると、その猫はそれからねずみを襲わなくなるといいます。これと同じことがイタチにも見られます。
猫に比べて、犬の方がまだ効果的であるという人もいます。特にテリヤ種や猟犬などは、訓練次第で建物をねずみの害から守るといいます。東南アジア地域では野外のねずみを犬を使って捕獲しています。夜行性の鳥類を敷地内に放し飼いにするという事も試されていますが、私達の想像するような実用性はないでしょう。ヘビの出没する都市近郊の家屋にはねずみはいないとされていますが、どの程度の効果があるかは疑問です。積極的にヘビを屋内で飼うこともできません。以前野外のねずみに対して、いわゆるねずみチラフ菌を利用して、非常に有効な駆除を行いましたが、私達への危険を考慮して現在はその使用は禁止されていて家屋内では利用できません。このように考えると野外に生息するねずみに対しての生物的駆除をそのまま屋内にいるねずみに当てはめることはできそうにありません。
機械的ねずみ駆除法
いわゆる「ねずみ取り」を仕掛けて駆除する方法です。広大な面積の野外のねずみに使用する粉多h経済的にも労力的にも安易なものではありませんが、家屋内で使用する場合にはかなり有効と判断できます。「ねずみ取り」にも色々ありますが、大別すると、生け捕りにするものと、殺してしまうものとがあります。
生け捕り式のもの~その1~
普通金網で作ったものが多く、通路式と袋式で区別されます。通路式は両側に出入り口があり、その中央にねずみが達すると重みによって口が自動的に閉ざされる仕組みです。ねずみに悟られないように通路と思われる場所に設置するので、特に餌をおく必要はありません。袋式のものは一方のみに入り口があり、内部にカギを付けた餌をおいて侵入したねずみが餌に接触したり、食いついたりするとバネによって口が閉ざされる仕組みです。これで捕らえられるねずみは一匹に限りますが、これを更に増やすために金網のかごを二室にし、この室の間に錘によって閉じている開閉自由な扉を設けたものもあります。餌に誘われて第一室に入ったねずみは更に第二室に近寄るとその重みで第二室の扉が開き、第二室に落ち込みます。そして、扉が閉じるともはや外には出られなくなります。所謂「千匹取り」と言われるものです。
一室の金網かごではありますが、上部外側にロート状に、侵入可能だが退出不可能な、硬い針金で作られた装置がついているものもあります。最初に侵入したねずみが囮として役立ち、一夜で数匹のねずみ捕獲も可能です。これと同じ原理で木製の捕鼠器が考案されています。この箱のふたは1/3は固定されていて動きませんが、残りの2/3は中央にある軸が回転することによって稼動します。この部分にねずみが乗ると箱内に落ち込んで生け捕りする事が出来ます。この固定した部分の意味は、ねずみの警戒心を取り去ることです。
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